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納骨堂とは?
核家族化や埋葬に対する価値観の多様化によって、「先祖代々の墓」という従来の概念にとらわれることなく、自分のライフスタイルに合わせたお墓を求める人が増えてきました。
近年、じわじわと浸透してきた散骨や樹木葬に続き、「新たなお墓の形」として、特に注目を集めているのが「機械式(自動搬送式)納骨堂」です。
このページでは、今流行りの機械式(自動搬送式)納骨堂も含めた納骨堂の特徴やその多様な形式、費用について詳しくご紹介します。
目次
納骨堂とは?
納骨堂とは、故人の遺骨を納めるための収蔵スペースを備えた建物で、個人、夫婦といったさまざまな単位でご遺骨を収蔵することができます。
「お墓」といって想像するのは、遺骨を納骨するための石のモニュメントや野外施設かと思いますが、納骨堂も遺骨を納骨するための屋内施設ですので、お墓の一種と考えることもできます。
納骨堂は一般的な墓地に比べて省スペースで運用ができることから、特に墓地用地が不足している都心部で増加傾向にあります。一方で利用者側から見ると、お一人様、ご夫婦、ご家族など、家族形態ごとの利用プランを選べるという利点があり、お墓の承継者がおらず、先祖代々の墓がいずれは無縁墓になってしまうことを懸念するケースや、子孫に負担をかけないよう、手入れが簡単な納骨堂を選ぶケースの方に、多く選ばれています。
納骨堂の運営は、寺院が運営する寺院納骨堂、自治体が運営する公営納骨堂、財団法人・社団法人・民間企業が運営する民間納骨堂があります。ちなみに、寺院による運営であっても、納骨堂の場合は檀家になる必要がないケースも多く、お布施などを気にする必要がないことも多いです。
納骨堂の歴史
納骨堂はかつて霊廟(れいびょう)と呼ばれており、奈良時代前後の文献に記載があったとされています。また、「納骨壇」と呼ばれるものも存在し、天皇家や豪族といった階級の人々が、自らの栄華存続のために建物の中に遺体を安置したものと言われています。
納骨堂の原型となるものは日本各地に存在し、例えば九州地方では、上京する際に菩提寺(ぼだいじ)へ先祖の骨を預ける「骨預り」という習慣があったといわれ、ここから納骨堂が生まれたという説もあります。また、北海道では、冬の間墓地が雪で埋まってしまうため墓参りできないことと、北海道に移住してきた人たちが本州に戻るまでの間一時的に遺骨をお寺に預かってもらったことから、納骨堂の文化が発展したともいわれています。
その後、現在の形に近い納骨堂が現れたのは、昭和初期の頃だといわれています。もともと納骨堂は、お墓を建てるまでの間、一時的にお寺の境内で遺骨を預かる場所でした。それが、次第に遺骨を預かる期間の延長や、永代供養が実施できるお寺も増えはじめ、安価で場所も取らないことから全国的に普及。一般的な墓地と違い、跡継ぎがいなくても購入できることも人気の要因となり、お墓の代替施設として拡大していきました。
納骨堂で遺骨を収蔵する棚の形式は、初めはロッカー式などといったようなシンプルなものが中心でしたが、昭和40年代以降になると、仏壇型や墓石型といった格式高いものも作られ始めました。現在では、機能性を追求した全自動機械式や、細部まで装飾にこだわったものなど、利用者のニーズに応える形でさまざまな納骨堂が作られるようになりました。また納骨堂の運営主体は大まかに、寺院、公営、民営の3つに分かれているので、運営主体によっても施設の違いが見られるともいえるでしょう。
価値観の多様化や生活スタイルの変化により、特定の宗教に属さない人が増え、その中で納骨堂も注目を集めています。土地が少ない日本においては、納骨堂のような狭い場所でも多数のご遺骨を安置できる場所は、これからも増加していく傾向にあるといえそうです。
経営母体による納骨堂の違い
宗教法人が運営する寺院納骨堂
宗教法人つまり寺院などが経営する納骨堂で、運営や管理も寺院などが行っています。寺院であれば、普段の供養だけでなく、法要、永代供養なども一任することができます。
寺院が運営する納骨堂では、お寺の檀家になる必要がある場合もあります。お寺の宗派の信徒だけが利用できる納骨堂なのか、他の宗派や無宗教の人でも利用できるのか、確認することをおすすめします。
自治体が運営する公営納骨堂
都道府県や市町村などの自治体が経営母体となって運営や管理を行っているのが、公営納骨堂です。
公営納骨堂は、寺院納骨堂や民間納骨堂に比べると、比較的リーズナブルな点が魅力です。ただし、公営納骨堂は誰もが利用できるわけではないので注意が必要です。それぞれの自治体が定めた条件を満たした人しか利用することができません。自治体によって利用条件は様々ですが、その自治体の地域内に住んでいることや居住年数が利用条件となるケースが多くあります。
またとくに公営納骨堂を考えられている人は「一時収骨施設」でないかを確認しましょう。一時収骨施設とは、決められた期間のみ一時的に遺骨を預かってくれる施設のことです。永年納骨はできませんし、永代供養もできません。公営霊園には、一時収骨施設がよく見られますから、注意してください。
財団法人・社団法人・民間企業が運営する民間納骨堂
財団法人や社団法人が運営母体の納骨堂や、民間企業が宗教法人などと一緒になって開発・販売に参画している納骨堂が、民間納骨堂です。民間納骨堂の利用に際しては、宗教や宗派を問われることはほとんどありません。 また、公営納骨堂に比べると使用料は少し高めではありますが、内装や設備が充実していたり、プランのバリエーションが豊富に取り揃えてあったりと、個性的なサービスが多くみられるのが最大の特徴です。
納骨堂の種類
集合型納骨堂
寺院の一室や本堂の裏などに設置された大型の棚に、遺骨を並べて収蔵するタイプの納骨堂です。このタイプは、お墓の代替施設というよりは、お墓などに遺骨を埋葬する前に一時的に預けるための施設といった意味合いの強い納骨堂です。しかし、最近では永代供養を行ってくれる場合もあり、一定期間は棚で骨壺のまま預かったあと一定期間経過後に合祀されるものが多いようです。
ロッカー型の納骨堂
同じ大きさのロッカー型の納骨スペースが集合しているタイプの納骨堂です。ロッカーという言葉どおり、駅などにあるコインロッカーのようなシンプルなデザインのものがかつては多く、味気ないと感じて敬遠する人も多かったようです。しかし、最近のものはデザインやバリエーションが多彩で、華やかな見た目のものや、扉を開けると小さなお仏壇のようになっているものもあります。小さいながら完全に個別のスペースで供養をすることができます。
仏壇型の納骨堂
納骨できる機能を持った仏壇に納骨するタイプの納骨堂です。よくあるタイプとしては、扉が上下二段に分かれていて、上段が仏壇スペース、下段が納骨スペースになっています。上段の扉を開くと宮殿(くうでん:仏さまが納まる場所)があり、本尊や位牌に向かってその場で礼拝することができます。1人用、2人用、家族用などと様々なタイプがあり、納骨壇全体のスペースの広さ、上段の仏壇スペースのしつらえの豪華さなどによって価格が異なります。
機械式(自動搬送式)納骨堂
機械式(自動搬送式)納骨堂は、立体駐車場や荷物の搬送などに使われているシステムを応用したもので、近年、このタイプの納骨堂が増えてきています。ICカードをかざすことで、該当するご家族の遺骨が自動で参拝スペースの墓碑まで運搬されてセットされます。 土地不足の都心部において、お墓不足を解消させるためにできたもので、「ビル型納骨堂」「マンション型納骨堂」などとも呼ばれています。狭小なスペースでもかなりの数のご遺骨を収蔵できるため、駅から近いビルなどに建設されていることが多くみられます。お参りを行う参拝スペースには共用の墓碑が据え付けられており、一般的な墓石に向かってお墓参りをしているような感覚で参拝することができるのが特徴です。
位牌型の納骨堂
ひな壇状になっている棚に、ご遺骨や位牌を並べるかたちの納骨堂です。お参りは共用の礼拝スペースやご本尊に向かって行います。ロッカー型や仏壇型と比べて個別の占有スペースがとても少ないため、納骨堂としては最も安価なタイプでしょう。
位牌型の納骨堂は、本堂や納骨堂のひな壇に位牌や骨壺が並んでいるだけのシンプルなつくりです。安価なものだと、骨壺ではなくご遺骨の一部のみを納骨し、一つ一つの小ぢんまりとした位牌がずらっと並びます。位牌ではなく、小さな仏像の中に遺骨を収蔵するものもあります。
こちらもチェック▶納骨堂の費用相場を解説。ロッカー型・仏壇型などタイプ別に価格を紹介
納骨堂のメリット・デメリット
納骨堂のメリット
納骨堂のメリットはいくつもありますが、まず何といってもお墓と比べて費用・料金が安いことでしょう。一般的なお墓は、墓石費用と墓地の永代使用料を含めると200万円~300万円前後かかるのに対し、納骨堂は個人であれば50万円前後に抑えることもできます。
次に、納骨堂は比較的アクセスのよい立地に施設が多いというメリットもあります。そのうえ、基本的に屋内施設であるため、雨や風といった天気の影響を受けず、冷暖房なども完備されており快適に参拝ができます。もちろん、掃除や、草抜きといった作業も必要ありません。
さらに、一般的なお墓では、転居する場合などにお墓まで移転させることはほとんどありませんが、納骨堂であれば遺骨の移動も簡単なため、近くの施設に移すという選択肢も生まれます。近年では、無宗教・無宗派という人も増えていますが、そういった人でも納骨堂は利用できます。施設によっては葬儀式場として利用できたり、家族で代々利用できたりするところもあります。
このように、時代の変化に伴う顧客ニーズの変化に柔軟に対応できる点も、納骨堂の大きなメリットといえます。
納骨堂のデメリット
納骨堂のデメリットとしては、まず遺骨の収蔵数に限界があるということです。集合型や位牌型の納骨堂のように、収蔵する遺骨の数に応じて料金が変わるタイプはもちろん、ロッカー型や仏壇型、機械式(自動搬送式)の納骨堂のように、納骨スペースを借りるタイプの納骨堂でも、納骨スペースがコンパクトに設計されているケースが多く、骨壺のまま保管できる数に限りがあります。ご遺骨を骨壺のまま収蔵したい場合には、事前に収蔵数を確認する必要があります。
次に、ご遺骨を収蔵できる期間に限りがある場合がある点が挙げられます。例えば、33回忌までといったように個別に遺骨を保管できる期間があらかじめ決められているため、期間終了時に継続するか否か判断を迫られることになります。継続する場合は更新料を支払えば引き続き遺骨を保管してもらえますが、継続の手続きをしなかった場合には「合葬墓・合祀墓」など他の人の遺骨と合同のお墓に埋葬され、そこで供養されます。合祀墓に遺骨が埋葬されてしまうと、他の人の遺骨と混じってしまうため、後から遺骨を取り出せなくなります。
最後に、意外に見落とされがちな点ですが、納骨堂は建物を伴う埋葬施設のために、建物の老朽化に伴う建て替えの際に、遺骨の取り扱いがどうなるのか(例えば、建て替えられた納骨堂をそのまま利用できるのか、あるいは、遺骨を引き取る必要があるのかなど)について、確認をしていた方がよいでしょう。
こちらもチェック▶【納骨堂とは】納骨堂の種類や永代供養との違い、メリット・デメリットを解説
納骨堂選びのポイント
一般墓地に比べて、安価かつ利便性が高いことで人気の納骨堂ですが、選ぶ際にはいくつか注意することがあります。
1.利用の目的について考える
まずは、納骨堂の「利用の目的」によって選択しましょう。例えば、子供のいない親戚の遺骨を引き取った場合は、「骨壺を置く場所」としての役割と割り切りって選択する場合もあります。元々疎遠な関係の親戚であれば、納骨後にお墓参りをしないケースもありますから、立地にこだわらず価格重視ということになります。一方、納骨堂を一般のお墓と同様に夫婦や家族で利用する場合には、お墓参りをするのにふさわしい、ロッカー型や仏壇型、機械式(自動搬送式)納骨堂を選択するケースが多くなるでしょう。
2.誰が納骨堂に入って、誰がお墓参りをするかを考える
次に、納骨堂を検討する際は、原点に立ち返って「誰が入るのか?」「お墓参りをするのは誰か?」といった点を考えて決めることが肝心です。例えば承継者がいないのであれば、家族が埋葬されたあとの永代供養(合祀)の有無を考えます。また、お参りするのが年配者であれば、駅から近いことが多い自動搬送式納骨堂が便利でしょう。
3.利用人数について考える
さらに、納骨堂のデメリットのところでも触れましたが、納骨堂は納骨スペースがコンパクトに設計されているケースが多く、骨壺のまま保管できる数に限りがあります。ご遺骨を骨壺のまま収蔵したい場合には、収容人数を確認する必要があります。なお、お骨を骨壺から出して袋などに移して収蔵することにより、利用人数を増やすことができる場合がありますので、利用人数が多い場合には、確認してみましょう。
4.利用期間について考える
最後に、納骨堂の「利用期間」について考えます。納骨堂は、契約から33年間や、家族全員が埋葬されてから13年間までのようにあらかじめ利用期間が定められているものがほとんどで、利用期間が終了すると合祀墓へ移されるのが一般的です。最近では、一般墓と同じように無期限で利用できる施設もあります。維持費を支払い続ける必要がありますが、維持費を支払い続けると期間の延長が可能です。施設を決める際は、利用期間もきちんと確認しましょう。
納骨堂の利用に向いている方
納骨堂は、現代人のニーズやライフスタイルに合っていることから人気が高まっている供養方法です。納骨堂の特徴を踏まえて、終の住処として納骨堂が合う人の特徴を紹介します。
子供がいない、お墓の跡継ぎがいない方
お子様や親戚などお墓の承継者となる方がいない場合、自分のお墓を持つことにためらいを感じられると思います。しかし、利用期間を定めて申し込みができる納骨堂であれば、一般的なお墓と違って永年利用を前提としていないので、お墓の承継者がいなくても利用可能です。永代供養を行ってくれるところがほとんどですので、利用期間が終了したあとも安心です。
後の世代に迷惑をかけたくない方
お墓を継いでくれるお子様はいるけれど、未婚であったり、孫がいなかったり、将来的な継承に不安を感じているご家庭が近年増えています。また、お子様がいらっしゃっても「子供に自分達のお墓の面倒をかけたくない」という親御様の声が増えています。結婚して実家を離れた娘さんであったり、お子様のお仕事に転勤の可能性があったり、遠方に住んでいたりといった理由から、お墓の管理をさせることに気が引けてしまうというお悩みがよく聞かれます。そういったお悩みがあるご家庭でも、納骨堂であれば期限を区切って利用できるため、供養の場として選ばれています。
なお、お墓や供養は、本人だけのものでなく、遺されるご家族にとっても大切なことです。親の立場や気持ちだけでお墓を選ばず、親子で一度話をしてみて、お子様はご両親のお墓や供養についてどう考えているのかをぜひ聞いてみてください。
自分一人だけ、または夫婦だけのお墓に入りたい方
自分一人が眠れるお墓を探している方、またはご夫婦二人だけが入れれば十分、という方に納骨堂はぴったりです。納骨堂は、ひと区画単位の価格ではなく、利用人数ごとの価格設定になります。
お墓にあまりお金をかけたくない方
お墓にあまりお金をかけたくないけれど、他人の遺骨と一緒にされてしまう合葬墓ではちょっと味気ない…と考える方にとって、納骨堂はよい選択肢と言えます。回忌法要までは納骨堂で供養を行うことで、故人にとっても、供養を行うご家族にとってもある程度の納得感を得られることができます。また、近しい親戚ではなく、縁遠い親戚の方が独り身でお亡くなりになり、他の身寄りのあてがなく遺骨を引き取ることになって供養先を探している…、といったケースもあるようです。合葬墓に入れてしまうのは何となく忍びないと感じるけど、立派なお墓を用意してあげるほどの義理もなく…といったご事情にも納骨堂は合っているでしょう。
今あるお墓を墓じまいしたい方
将来の承継者問題への不安や、掃除や管理が行き届かないといった理由から、先祖代々のお墓を撤去する「墓じまい」を検討される方が年々増えています。先祖代々の墓石を撤去した後、お墓の中に納骨されていたご遺骨の再供養先として、お墓の掃除や管理の手間がかからない納骨堂は選択肢の一つとなります。
機械式(自動搬送式)納骨堂の特徴
近年、都心部を中心に、広告などでよく見かけるようになった機械式(自動搬送式)納骨堂。ここでは、機械式(自動搬送式)納骨堂について、詳しく説明したいと思います。
機械式(自動搬送式)納骨堂とは
納骨堂の種類のところでも触れたとおり、機械式(自動搬送式)納骨堂とは、立体駐車場や荷物の搬送などに使われているシステムを応用し、ICカードをかざすことで、該当するご家族の遺骨が自動で参拝スペースの墓碑まで運搬されてセットされる納骨堂で、「ビル型納骨堂」「マンション型納骨堂」などとも呼ばれています。狭小なスペースでもかなりの数のご遺骨を収蔵できるため、駅から近いビルなどに建設されていることが多くみられます。
お参りの方法
機械式(自動搬送式)納骨堂は、参拝スペースに共用の墓碑が設置されており、その石碑に遺骨が自動でセットされ、お参りをします。ここでは、機械式(自動搬送式)納骨堂のお参りの方法について説明します。なお、お参りの方法は自動搬送のシステムによって異なる場合があります。詳しくは、納骨堂の職員にお尋ねください。
自分一人だけ、または夫婦だけのお墓に入りたい方
自分一人が眠れるお墓を探している方、またはご夫婦二人だけが入れれば十分、という方に納骨堂はぴったりです。納骨堂は、ひと区画単位の価格ではなく、利用人数ごとの価格設定になります。
機械式(自動搬送式)納骨堂の法事・法要
機械式(自動搬送式)納骨堂の多くは、法要施設や会食施設を併設しています。納骨、お参り、法要、会食の全てが同じ建物の中で完結するので、納骨後の仏事も大変便利です。また、原則、法要を行う場合は納骨堂を管理するお寺にお願いしますが、その他の礼拝施設では他宗派・他宗教の僧侶や神職を招いて追悼行事をすることができます。加えて、管理者にお願いして、希望の宗派の僧侶を手配してもらえる場合もあります。法要施設の他、会食ができる客殿を設けている自動搬送式納骨堂も多くあります。同じ建物内で納骨、法要、会食までを完結できる点も、自動搬送式納骨堂の魅力です。
納骨法要について
機械式(自動搬送式)納骨堂での納骨法要は、納骨専用の参拝ブース、または参拝室で行います。お参りと同様、墓前法要も屋内で行うので、天候を気にせずに済みます。参拝室が広い場合は、着席した状態で納骨法要ができる所もあります。納骨は、遺骨を納めた厨子をお墓の正面から入れ、その後は機械が保管庫まで運びます。
1 | お参り可能な ブースを探す |
建物に入ったら、まずは参拝可能なブースを探しましょう。エントランスでお参りに使用されていない「空きブース」を探し、その参拝ブースに移動しましょう。 |
---|---|---|
2 | カードリーダーに カードをかざす |
参拝ブースに到着したら、参拝ブースに設置された専用のカードリーダーにカードをかざします。なお、カードリーダーは納骨堂のエントランスに設置されている場合もあり、この場合、エントランスでカードをかざした後に、参拝ブースに移動することになります。 |
3 | 遺骨が参拝ブース に運ばれてくる |
カードリーダーにカードをかざすと、遺骨が参拝ブースに運ばれてきて、お参りができるようになります。なお、参拝ブースの石碑は共用になりますが、個々の参拝ブースはパーテーションなどで区切られており、参りのための個別のスペースが確保されています。 |
4 | お供え・お参り | お墓の前に参拝スペースがあるので、持参したお供えを置きます。一般的なお墓ではお線香をあげますが、納骨堂ではお線香の使用が禁止されているところもあります。そのかわり、多くの場合でお花とお香は常設されているので、手ぶらで来てもお参りできます。 |
5 | ご遺骨を戻し、 お供え物を下げる |
お参りが終わったら、近くにあるボタンなどでご遺骨を戻します。また、お参りスペースが共用であるために、お供え物はその場に残さず、各自持ち帰りましょう。 |
機械式(自動搬送式)納骨堂の
メリット・デメリット
機械式(自動搬送式)の納骨堂を利用するメリット
1.立地条件がよく、アクセスが便利
機械式(自動搬送式)納骨堂の一番のメリットは、立地条件の良さです。「ビル型」や「マンション型」とも呼ばれているように、土地に限りがある大都市だからこそ求められる納骨堂の形だといえるでしょう。機械式(自動搬送式)納骨堂は主に大都市を中心に作られますが、こうした地域で墓地を手に入れようとしてもなかなか手に入りませんし、空きがあったとしても膨大な費用がかかるでしょう。大都市にあるからこそアクセスも便利で、駅から徒歩数分という利便性は魅力的です。
2.館内がモダンできれい
多くの機械式(自動搬送式)納骨堂は館内がきれいに装飾されています。従来の仏教的な雰囲気ではなく、明るくモダンな内装を施しているところが多く、ホテルやマンションのロビーを思わせるほどです。特定の宗教性を排除しながらも、おごそかな雰囲気を残しつつ、お参りの人の心を落ち着かせてくれることでしょう。
3.掃除や管理をしなくてもよい
機械式(自動搬送式)納骨堂では、掃除や管理をする必要がありません。屋内参拝施設なのでお墓に比べて汚れも少ないだけではなく、そもそもどこかの区画を買うわけではありません。遺骨はバックヤードに納められていますし、参拝ブースも共有のものです。ですから、家族が責任を持って管理しなければならない場所がなく、代わりに納骨堂の職員が行ってくれます。お墓掃除の負担を苦に感じる人が多い中、掃除や管理が不要というのも魅力的なポイントです。
4.天気に左右されずお墓参りできる
納骨堂は屋内施設なので、天気に左右されることがありません。通常のお墓であれば、雨の日には傘をさしながらのお参りになりますし、風が強い日にはお線香に火がなかなか付かないことを経験した人もいるのではないでしょうか。また、お盆の暑い時期は、墓地の気温は40度以上に上昇することもあり、お墓掃除やお参り中に熱中症になる恐れもあります。一方で、屋内で空調設備の整った納骨堂では快適にお参りができるでしょう。
5.手ぶらでお参りできる
機械式(自動搬送式)納骨堂は、礼拝ブースが共有のため、お花などのお供えは基本的には、管理者側で用意してくれています。また、お線香が使用できない代わりに、お焼香なども用意してあることが多いです。お墓掃除もないので手ぶらでお参りできます。
5.館内がコンピューター制御のためセキュリティが安心
機械式(自動搬送式)納骨堂では、入館や遺骨の搬送などがすべてコンピューター制御で行われるため、セキュリティ面で安心でしょう。家族にはICカードが渡されており、これがセキュリティキーの役割を果たします。一般の人がお参りしたい場合は、受付に申し出て、自分自身の名前や故人や喪主との関係性を伝えてお参りをすることになるために、不審者や見ず知らずの人のお参りがなく、家族にとっては安心でしょう。
機械式(自動搬送式)納骨堂を利用するデメリット
1.都市部にしかない
機械式(自動搬送式)骨堂はそのほとんどが大都市にあります。最近では、地方都市や郊外でも自動搬送型の納骨堂を導入する寺院も見られ始めましたが、まだまだその数は多くありません。土地不足に悩む大都市だからこそニーズがあるのであって、地方への普及はもう少し時間がかかるかもしれません。
2.建物やシステムの老朽化や災害時の対応が不安
建物は時間が経てば必ず老朽化を起こし、時期が来れば建替えの必要性も出てきます。また、機械式(自動搬送式)納骨堂は仕組みがとても複雑なために、定期的なメンテナンスを必要とし、時にはシステムの故障にも見舞われます。そのため、建物の修繕計画や建替えを行う際の遺骨の取り扱い、システムのメンテナンス計画や故障、災害時の対応などがどのように行われるのかは、事前に確認するとよいでしょう。
納骨堂についてよくある質問
「納骨堂」という言葉は知っているけど、細かいことがよくわからない…という人は多いものです。ここでは、納骨堂に関して、よくある質問をご紹介します。
納骨堂はご遺骨を安置する場所を指します。永代供養墓は永代に渡り管理者が供養してくれるということを指しています。したがって納骨堂であり同時に永代供養墓でもあるケースは多いです。
納骨堂によって、個人単位から夫婦、家族まで、さまざまなサイズがあります。ロッカー式は、個人や夫婦など、1つから2つの骨壺が収蔵できるタイプが多くなっています。仏壇形式の納骨堂は、下段の納骨スペースが広く、10人以上の骨壺が入る所もあります。
納骨堂の多くは宗派不問で、寺院の檀家にはならない場合がほとんどです。
納骨堂の費用
納骨堂にかかる費用は、初期費用として払う「納骨堂の使用料」「永代供養料」と、維持費用として払う「管理費」に分けられます。管理費を支払うタイミングは施設や契約内容により異なり、契約時に一括で支払うこともあれば、毎年支払うこともあります。この支払い方の違いにより、価格に大きな幅が生じることがあります。さらに、納骨堂にはさまざまなタイプがあるため、タイプごとに費用の相場は異なります。ここでは、納骨堂の5つのタイプごとに、特徴や費用相場を紹介します。
ロッカー型の納骨堂
ロッカー型の納骨堂は、昔からあるオーソドックスなタイプです。同じ大きさのロッカーが並んでおり、その中に遺骨を納めます。シンプルな作りをしており、手を合わせる対象となる礼拝仏が共有の場合が多いです。費用は比較的安く、20~80万円程度に抑えられます。
仏壇型の納骨堂
仏壇型の納骨堂は上段が仏壇になっており、下段に納骨スペースが設けられています。納骨スペースに広さがあるため、複数人での使用に向いています。焼香具や花立て、お供えのスペースもあり、家の仏壇のように家族で利用できるのがメリット。ロッカー型よりも費用の相場は上がり、50~150万円程度です。
機械式(自動搬送式)の納骨堂
機械式(自動搬送式)の納骨堂では、遺骨はバックヤードに保管されており、参拝者がICカードやタッチパネルで操作すると参拝スペースまで運ばれてきます。自動搬送型の納骨堂は都心部に多く、利便性の良さが魅力です。設備に費用がかかるため、80~150万円程度と他のタイプよりも高額になる傾向があります。
墓石型の納骨堂
墓石型の納骨堂とは、屋外の霊園や墓地に墓石を建立するのではなく、屋内に墓石を建立したものです。天候に左右されずお参りでき、雨風や日光にさらされないため手入れをラクに済ませられます。他のタイプよりも個々のスペースが広いため、窮屈さを感じずにお供えやお参りができるのが魅力。墓石を建てるため費用は高額となる場合が多く、100~200万円程度が相場です。
合葬型(合祀型)の納骨堂
合葬型(合祀型)の納骨堂は、他の方の遺骨と一緒に最初から合祀されます。他のタイプの納骨堂では、一定期間は個別に遺骨を安置し、期間が過ぎたら合祀されます。しかし合葬型(合祀型)の納骨堂では、個別に遺骨を安置される期間はありません。費用は3~10万円程度に抑えられますが、他の方の遺骨と区別がつかなくなるため、合祀後に改葬(お骨を他のお墓へ移すこと)はできなくなります。
こちらもチェック▶納骨堂の費用相場を解説。ロッカー型・仏壇型などタイプ別に価格を紹介